和菓子に使われる和三盆ってどんな砂糖?

阿波和三盆

一口にお砂糖といっても様々な種類がありますよね。和菓子によく使われるものには製法の違いでざっと以下の種類があります。

上白糖:一般に白砂糖と呼ばれ、粒が細かくしっとりしている

白双糖(しろざらとう):純度が高く無色透明で結晶が大きくざらめとも呼ばれる

中双糖(ちゅうざらとう):白双糖をカラメルで着色したもの

グラニュー糖:上白糖より純度が高い白砂糖

三温糖:グラニュー糖や上白糖の製造過程でできた蜜を材料に作られる

黒砂糖:サトウキビのしぼり汁を煮詰めたもので黒糖とも呼ばれる

和三盆糖:サトウキビを原料とした日本特有の砂糖

水あめ:でんぷんを酸などで糖化して作られる粘液状のもの

など

ここで気になるのが和三盆糖。よく高級和菓子で「和三盆使用」などの表記を見かけますが、和三盆ってそもそもどういう意味なのか気になりませんか?

和三盆の原料はサトウキビ

サトウキビと言えば沖縄や鹿児島を思い浮かべるかもしれません。しかし和三盆に使われるサトウキビは沖縄などで加工される竹糖よりも細い在来品種のサトウキビで、徳島や香川で栽培され、加工されたものが和三盆です。

ちなみに徳島県産の和三盆糖は「阿波和三盆」、香川県産の和三盆糖は「讃岐和三盆」とも呼ばれています。

中国から来た唐三盆が和三盆になった?

和三盆糖の名前の由来は諸説あります。ひとつはもともと中国から入ってきた唐三盆と呼ばれていた砂糖を日本で作るようになったため、和をつけて国内製であることを区別して和三盆と呼ぶようになった。(※1)というもの。

または、和三盆糖の特徴である細やかな粒子は「盆の上で三度研ぐ」という製法から、和(日本)の三盆=和三盆 と呼ばれるようになった。とも言われています。(※2)

和三盆は手間暇かけた高級砂糖

和三盆糖のほぼすべては香川県や徳島県で作られていますが、同じ四国内でも産地や製法によって同じ和三盆でも糖蜜の量によって見た目や風味が大きく異なります。

和三盆と言えば他の砂糖に比べてきめ細かいパウダーのような粒子と、ほろりと広がる口溶け良い甘さ、決して甘すぎずすっきりとした味わいが特徴ですよね。実にこの「くどくない甘さ」を作るには手間暇がかかります。和三盆の製造は他の砂糖に比べ製造工程が多く、かつ時間がかかるため、必然的に高級な砂糖になるのです。

落雁=和三盆?

干菓子といえば落雁。でも落雁のパッケージに「和三盆」と書かれているのを見たことはありませんか?話が少しややこしくなりますが、砂糖の種類の和三盆を「和三盆100%使用の型押しされた干菓子」とすることもあります。

つまり干菓子としての「和三盆」は着色料を除き他の砂糖や材料を混ぜない、純粋に和三盆のみを固めたもの。

に対し、落雁は、高価な和三盆を他の糖類を混ぜたり、または代用し、米や麦、豆などの粉と混ぜて固めています。

純粋に和三盆のみを使用したものは非常に繊細で上質であり希少であることが分かりますよね。

江戸時代の「飴ちゃん」だった?

色とりどりの和三盆や落雁の中には懐紙という茶道で使われる白い和紙に包まれたかわいらしいものもあります。砂糖の生産が本格的に全国に広がった江戸時代、貴重な和三盆は幕府や藩のごく一部の高い位の人が懐にそっと忍ばせていた、今でいうキャンディーのような存在だったかもしれませんね。

和三盆にはコーヒーがぴったり

品の良い上品な甘さの和三盆には、コーヒーやエスプレッソ、紅茶がとてもよく合います。コーヒーの甘味料として和三盆糖を入れると砂糖独特のくどさのない、すっきりとした柔らかい甘さになります。

参照元

※1 レファレンス共同データベース

※2 Wikipedia

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