奥が深い和菓子の世界観|菓銘(かめい)をご存知ですか?

菓銘(かめい)とは

菓銘(かめい)とは、いわゆる銘(めい)であり、菓子につけられる名前。つまり和菓子のネーミングのことを表しています。

「団子」や「練りきり」などの和菓子には様々なカテゴリーがありますが、そのカテゴリーの中でもそれぞれ独自の名称がついたものがありますよね。この独自名が「菓銘」です。つまり菓銘とは、菓子そのもののカテゴリー名ではなく、意匠につけられた名前となります。

「水無月」や「飛梅」、「初ちぎり」など、実に様々なものが存在します。

風物詩や歴史を感じられる菓銘

菓銘の多くは、その菓子がつくられた土地や風物、和歌や歴史上の出来事にちなんだものとなります。例えば、見た目や彩もよく似た菓子だとしても、土地によって菓銘が違うという事はよくあります。

一例として【春】を表した菓子があったとします。春といえば、やはり日本の情景としては「桜」が挙げられると思います。これに対する菓銘も実に多く、「遠山桜」「八重桜」といったように、その土地ごとの名所桜や桜の季節ををいつくしむ様子などを表現しています。

他にも【紅葉】を表現した和菓子の菓銘である、「竜田(たつた)」などもあります。これは一見すると「紅葉と関係ある??」と思われるかもしれませんが、奈良県に存在する紅葉の名所である「竜田川」が多くの歌に詠まれたことからこの菓銘が付いたとされます。

ちはやぶる 神代もきかず竜田川 からくれなゐに水くくるとは (在原業平)

菓銘を知り、和菓子の世界観をより深く楽しむ

如何でしょうか。

何気なく見てきた「和菓子の名前」ですが、このように実に奥深い世界観が秘められています。ここ日本は特に四季の移り変わりがはっきりしています。そのため、和菓子にもこの季節感という概念はとても深くかかわっていることは、これまでの記事でも触れてきました。

菓銘を考えることは、その季節や、季節ならではの情景に思いを馳せることです。美しい日本の文化や景色、くらしに触れることができる「菓銘」。これもまた1つの楽しみ方ではないでしょうか?

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