和菓子の「きんつば」は、元々は「ぎんつば」だった!?名前が変わった理由と由来がおもしろい和の菓子

そもそも「きんつば」とは

「きんつば」という和菓子をご存知の方は多いのではないでしょうか。まず「きんつば」とはもともと大阪が発祥の和菓子であり、寒天を使用し、つぶ餡を四角形に固めたシルエットが特徴的です。表面には焼きが入っていますが水分量はおおく、ジャンル的には「生菓子」の分類となります。

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発祥が大阪という事もあり、大阪市内にも「きんつば」を取り扱う老舗和菓子補は多数あります。

「きんつば」の風味や味の特徴

きんつばは、餡をふんだんに使っている点が特徴的です。しかしながら、基本的に使用する材料が「餡」と「小麦粉」だけという非常にシンプルなものとなっているため、思いのほか後味はすっきりしており、どなたでも親しみやすい和菓子と言えるでしょう。

ただし、先にご紹介した通りに「材料がシンプル」であるが故、そもそもの素材の品質や、職人の技量がそのまま味わいに反映されるといっても過言ではありません。

また、作り方も現在では少しバリエーションが増えており、

  • 鉄板で高温加熱して表面に焼き入れをする、伝統的なパターン
  • 蒸して仕上げをするパターン
  • 油を用いて、表面に揚げを施すパターン

などもあり、いろいろと食べ比べてみる楽しみ方もできます!

「きんつば」の歴史と名前の由来

「きんつば」という名称は、漢字に置き換えると「金鍔」となります。

「鍔(つば)」とは刀の刀身と柄の間にある、一般的には円形の形状をしたものです。時代劇でよく登場する日本刀のシルエットを思い浮かべてください。お侍さんの腰に差されている日本刀には、ほぼ例外なく「鍔」がありますよね。「きんつば」は、この日本刀の「鍔」に形が似ていることに名前の由来があります。

さて、現代私たちが目にする「きんつば」は、多くは四角形です。しかしながら、江戸時代につくられ始めた当時のきんつばは丸い形状だったとされており、形状が変わった今日でも歴史の名残で「つば」という名前がついているのです。

「きんつば」は、もともと「ぎんつば」だった!

ここからの内容、ご存知の方はかなり少ないのではないでしょうか?そうです!じつは「きんつば」は元々名前が違ったのです。

元々の呼び名は「ぎんつば」であり、漢字に直すと「銀鍔」でした。「鍔(つば)」と付くように、やはりそもそもの名前のルーツとしては日本刀の「鍔」から来ている点は同じです。ただし、「金」ではなくはじめは「銀」だったのです。

「ぎんつば」が「きんつば」になった理由

なぜこのようなことが起きたのかについては、実はかなりシンプルで

銀より金の方が格上で、金の方が景気が良く感じるから

というのが通説となっています!ではなぜ、最初から「きんつば」にしなかったのか??と思いますよね。

これは、そもそもの発祥の地である大阪では、仕上げの焼き入れの際、小麦粉ではなく「米粉」をまぶして焼いていたとされており、米粉本来の色味により「銀色」をとり「ぎんつば」となったといいます。それがその後に江戸に伝わり、江戸では現在のように水溶きした「小麦粉」をまぶして焼いたところ、仕上がり色がこんがりと「金色」に見えたことで、今日に伝わる「きんつば」となったのです。

形状や製法、使用する材料が時代とともに変わっていくことは、和菓子の世界では決して珍しいことではありません。もちろん名前が変わるという事もあります。

ただし、このように意外にもシンプルな理由で名前が変わり、さらに発祥の地である大阪でも「きんつば」という名前が根付いているというのは、中々面白いものではないでしょうか?

普段何気なく口に出している和菓子の「名前」には、実に様々な歴史や背景があります!ぜひ皆様も、気になった和菓子の名前を調べてみては如何でしょうか。

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